幸せを探して?


手錠時代です

 


L「どうしたら私たちは幸せになれるのでしょう‥‥」
月「は?いきなりどうした。おやつのケーキがなくなったからって、泣き落としは効かないぞ。
  今日の分はそれで終わりだ。ケーキスプーンを銜えるな。意地汚い!」
L「いいじゃないですか、貴方の分を分けてくれたって」
月「ほぉ、つまりお前の幸せはケーキの量で決まる訳か」
L「いえ、そうではなく‥‥」
月「だったら何だ」

L「いえね。某反逆アニメの主人公ファンの方々は、
  皆さんその主人公の幸せを祈っていらっしゃるようなので、
  私もそれを真似て私達の幸せを祈ろうかと思ったのですよ。
  もちろん祈るだけなんて私の性に合いませんので当然ながら実践しますが」
月「神頼みより当たって砕けろ?」
L「砕けません。叶えて見せます」

月「竜崎らしいけど‥‥ふ~ん、私達ね。私、じゃなく私達」
L「えぇ、そうです。私達です。
  私一人で幸せになる事はできないと、つい最近知りましたので」
月「最近って、何時頃?」
L「それは当然‥‥」
月「あぁ、いい。言わなくていい!」
L「月君も認めるんですね?私、うれし‥‥」
月「何を認めるって!?ぼ、僕は知らないからな!」

L「月君、今更です。
  とにかく、私達が幸せになる方法は一緒にLをやることです。
  それしかありません」
月「は?何言ってるんだ?僕の意思は無視か!?」
L「ほら、やっぱり認めてるじゃないですか。私達とはもちろん私と月君の‥‥‥」
月「僕は父さんのような刑事になるんだ!」
L「判っています。確かにそれも一つの道でしょう。
  けれど、それで我慢できるのですか?満足できるのですか?
  私との刺激的な生活以上のものをそこに見出すことができるのですか?」
月「その言い方やめろ。変な誤解をされたらどうする!」
L「私は本当の事を言ったまでです。刑事の仕事は確かに遣り甲斐のある仕事です。
  夜神さんの仕事にかける情熱や誇りを見ればそれがよく判ります。
  しかし、同時に刑事ほど愚かな縦社会はありません。
  賢い月君ならもうお分かりのはずしょう?」
月「!‥‥‥‥竜崎」

 


L「俗に言う『世のしがらみ』、そんなものに月君がわずらわされる必要はありません」
月「竜崎‥‥」
L「月君ならきっと優秀な刑事になれます。
  けれど、貴方の思う通りに仕事が出来るようになるまで果たして何年かかるのでしょうか」
月「そんなもの‥‥気にしないさ。僕は僕に出来る事を精一杯やるだけだ‥‥」
L「貴方はきっと失望します。憤りを感じます。
  そして、強欲な年寄り達を嫌悪しそれに追従しようとする輩を軽蔑します。
  世界の切り札である私が言うのです。間違いありません。
  もちろん、そんな状況でも貴方は決して仕事に手を抜かないでしょう。
  しかし、それが却って貴方を追い詰めます。
  誠実に仕事をこなし実績を上げれば上げるほど、貴方の心は冷めて行く‥‥
  まるでキラがキラに為ろうとした時のように‥‥」
月「竜崎!」

L「言い過ぎました、すみません‥‥けれど、私が今言った事は真実です。
  貴方はもう知ってしまった。
  刑事になるよりもっと自分の力を発揮できる道がある事を‥‥」
月「‥‥その道が、お前の傍にあると?そう、言いたいのか?竜崎」
L「はい」
月「お前の傍でなら、お前と一緒なら‥‥僕は一生退屈しないと、
  満ち足りた気持ちになれると‥‥
  何も出来ない自分に焦りや失望を感じることはないと、そう言うのか?」
L「はい」
月「それはお前が‥‥世界の切り札、名探偵Lだから?」
L「いいえ、私が私だからです」
月「!‥‥‥‥」

L「もう一度言います。私と一緒にLをやりましょう。
  今までのような穏やかで明るい生活とは縁が切れてしまいますが、
  貴方が恐れている『退屈』とは無縁の生活を保障します。
  貴方に手加減も遠慮もさせません。貴方の能力を存分に発揮させて上げます。
  そして、キラなど必要のない世界を地道に築いていきましょう」
月「‥‥キラなど‥‥必要のない、世界‥‥」
L「キラは貴方です、月君」
月「‥‥‥‥‥」
L「貴方を傷つけたくて言っているのではありませんが、
  貴方を傷つけたことを謝ることもできませんが、
  私は今でも貴方がキラだと思っています。いいえ、キラは貴方しかいません」
月「‥‥僕は、キラじゃない‥‥」
L「確かに貴方がキラだという証拠はありません。
  しかも、今現在貴方以外のキラが確かに存在しています。
  それは認めます。けれど、やはり貴方がキラです」
月「‥‥‥‥‥‥‥」
L「だからこそ、私は今、貴方に言わなければならないのです」
月「竜崎‥‥」
L「キラ事件が解決したら私と一緒にLをやりましょう。
  それが、私と貴方が幸せになる唯一の道です」
月「僕は‥‥」

L「本当は貴方も判っているのでしょう?自分がキラだと、キラだったと」
月「仮に、そうだったとしたら‥‥僕はキラであった僕を許せない‥‥」
L「はい、月君ならそう仰るだろうと思っていました」
月「僕が、キラだから‥‥僕に、一緒にLをやろう‥‥なんて言うのか?
  僕に逃げるなって‥‥罪を償えって‥‥」
L「素直にそう言える貴方の強さを誇りに思います」
月「竜崎‥‥」

L「人は善だけで出来ているのではありません。悪だけでもありません。
  善と悪の両方で出来ているのです。
  ですから、キラがどんなに悪人を裁いてもこの世から悪がなくなる事はありません。
  悪を本当になくしたかったら、人間を皆殺しにするしかないのです」
月「‥‥キラは社会のカンフル剤にしかならないと、そう言うんだな。
  癌の特効薬がないように、人の悪の心に効く特効薬もないと、
  ただ地道に人が進化するのを待つしかないと、そう云うんだな‥‥」
L「それだけ判っていて、それでもキラに為った貴方が私は好きですよ、月君」
月「‥‥‥‥バカ」

L「えぇ、そうです。私はバカです。推理が好きなだけの引き籠りのバカな男です。
  世間がどうだろうと興味はない、他人がどうなろうと知ったことじゃない。
  私は私の好きな事しか目に入らない、自分さえ良ければ後はどうでもいい男です」
月「それくらい、とっくの昔に知ってる。ホント、最低な奴だよお前は。
  おまけに猫背だし、片付けられないし、不摂生だし、空気読めない時は読めないし、
  気配りできないし、嘘吐きじゃないけど正直者でもないし、皮肉と嫌味が友達だし、
  甘いものには目がないし、今だってケーキスプーン持ったまま僕の手握ってるし‥‥」
L「正義感なんてこれっぽっちもありませんし?」
月「‥‥自分で言うなよ、バカ」
L「バカですから」
月「‥‥僕は、キラじゃない」
L「もう二度と貴方をキラにはしません。Lの名に懸けてもいいです」
月「正義感なんてないって、自分で言ったくせに」
L「愛はあります」
月「僕にはない」

L「判っています。大丈夫。愛は唐突に発生したりもしますが、
  基本は育てていくものですから」
月「育てたことあるのか?」
L「ありません。しかし、貴方となら育てる自信があります」
月「‥‥救いようのないバカだな」

L「バカですが、ちゃんと理解はしています。これが私の我儘だということぐらい」
月「そう‥‥」
L「貴方は私がいなくとも立派に生きていける人です。
  けれど‥‥けれど、私はダメです。
  貴方という人間を知って、貴方とこんなにも濃密な時間を共有して‥‥
  今更元に戻れと言われても、私には絶対無理です」
月「‥‥竜崎‥‥」
L「正直に云います。幸せになりたいのは私です。
  貴方の意思を無視して、貴方の未来を犠牲にして、私が幸せになりたいのです」
月「‥‥‥‥‥‥」
L「私の幸せには貴方が必要不可欠なんです、月君。
  私はそれを、この夏知りました。
  人は一人では生きていけない‥‥‥
  そんな言いつくされた言葉を、この夏ようやく理解しました」
月「竜崎‥‥」
L「私はこれからもずっと貴方と一緒にいたい‥‥
  貴方と一緒でなければ、きっと私の心はまた死んでしまうでしょう」
月「‥‥‥‥‥‥」
L「私を幸せにしてください、月君」

月「僕を、本当に退屈にさせない?」
L「はい」
月「失望させない?」
L「貴方自身にも、社会にも、決して失望させません」
月「それは、お前に失望することがあるかもってこと?」
L「‥‥それは、考えていませんでした」
月「たいがい自信過剰だよな、お前は」
L「それが私です」
月「大学、ちゃんと卒業するからな」
L「ここから通ってください」
月「家からじゃダメなのか?」
L「私に夜泣きしろというのですか?」
月「バ、バカ!だからそういう誤解を招くような発言は‥‥
  とにかく、生活全般僕の云う通りにしろよ。反論は許さないぞ」
L「‥‥判りました。でも、仕事に関しては譲りませんよ」
月「僕だって譲らない」
L「こう云うの知ってます。喧嘩するほど仲がいい、でしたっけ?」
月「お前、足癖悪いから縛っていいか?」
L「月君だって、見た目に反して口より手の方が早いじゃないですか。
  毎回見た目に騙される私の身にもなってください」
月「少しは学習しろよ」
L「無理です。私はいつも貴方に見惚れてますから」
月「!‥‥‥バカ」
L「恋する人間はみんなバカですから」
月「竜崎‥‥‥‥」

 


L「私とLをやってくれますね?」
月「それは良いけど‥‥その前に僕の質問に一つ答えてくれないか?」
L「はい、何でしょう。というか、今の貴方の言葉、了承と取って良いんですよね?」
月「うん、それはそれで構わない。だからその前に僕の質問に答えてくれ」
L「後であれは気の迷いだったというのはなしですよ。
  私今すごく幸せです。そうは見えないかもしれませんが、ものすごく喜んでいます。
  はい、何でもお答えしましょう。あ、ただし私の素生に繋がる質問は‥‥」
月「僕だってそれぐらい心得てるよ。僕が聞きたいのはそんなことじゃない」
L「はぁ‥‥では、いったい‥‥」
月「あぁ、簡単な事だ。
  ただちょっと、僕の後ろに立って大きなボードを掲げているワタリさんが、
  何をやっているのか教えてくれればいいだけだから」

L「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え?」
月「だからね、ワタリさんは僕の後ろで何をやっているのか教えて欲しい、って言ってるんだ。
  ワタリさんが持ってるの、もしかしなくてもカンニングボードだよね」
L「ラ‥‥月君?」
月「どうしてそれに、『そこでもう一押し!男なら押し倒せ!脱童貞!!』
  なんて書いてあるのかなぁ?なぁ、竜崎?」
L「ラ、ラ、ララ、ララララララララ‥‥‥‥‥‥‥‥!」
月「プロポーズに自作の歌を捧げるって話はよく聞くけど、
  お前のセンスじゃなぁ。音痴っぽそうで耳が腐りそうだし。
  そんな事より、早く僕の質問に答えてくれないかな?竜崎」
L「!!!!!!!!!!!!!」

ワ「さて、後は若いお二人にお任せして、老人は退散しますかな」
L「(ワタリィィィィィィィ‥‥!!私を見捨てないでくれぇぇぇ‥‥!!!)」
月「フフフフフ‥‥答えは?竜崎」

 


おかしいと思ったんだよね。
いつもは皮肉しか言わない(言えない)竜崎が、あんなに流暢に愛の告白をするだなんて。

(もちろん竜崎が僕に夢中だって事ぐらいとっくに知ってたさ。
僕はそういうのに結構鋭いんだから。ストーカー対策には必須スキルだからね)

竜崎が握ったスプーンにワタリさんが映っていて、その理由はすぐ判ったんだけど。
別に刑事だけが僕の進むべき道じゃないって、もう判ってたけど。
でもやっぱり少し癪じゃないか。
ちゃんと、竜崎自身の言葉で言ってくれないとね。
あぁ、本当に大変だ。引き籠りと普通の恋愛をするのは。
ワタリさんもそこの処もう少しちゃんと教育しておいて欲しかったな。
あ、でも、僕が調教し直すって方法もあるか。
僕好みの探偵に鍛え直すって、どう?どう?!うわぁ、なんか興奮してきちゃった!!
ウフフフフ‥‥僕、頑張っちゃおっと!

 


そんなとんでもない思考が、
顔良しスタイル良し頭脳良し運動神経良し性格(一部難あり)良し、
加えて社交性バッチリ家事万能な未来のパートナーの優秀な頭の中で展開されているなんて、
ちっとも思いつかない唯我独尊(今はヘタレ疑惑強し)な引き籠り探偵は、
未だ片手にケーキスプーン、もう片手に恋人(予定)の手を握ったまま、
血色の悪い顔をさらに悪くさせ、普段なら人一倍回る口をアワアワさせて、
何年ぶりか判らない冷や汗を大いに流しながら、
遅い初恋成就一歩手前の大ピンチに失神寸前だった。


たぶんきっと、幸せはすぐそこに。

 

 

※え?シリアスだと思いました?いえいえ、ギャグです。
このお話のLはいい年してチェリー君です。月が当然初恋です。
月はピュアッ子ですが、女性経験はそれなりにあります。
厳しい総一郎パパの目を盗んでだったのでモテル割には少ないですが(笑)。
でもって、頭デッカチのLをリードする気満々です!
頑張れ白月たん!!下剋上は遠そうだぞL!!!
 (当サイトのLと月の精神的な関係はこれが基本みたいです)

 

 

 

 

 

 

 


おまけ


ミ=ミサ  高=高田清美  照=魅上照

 

 

ミ「私達が幸せになる道はただ一~~~~~つ!!!」

高「そうね、一つね」

照「そうです、一つだけです」

ミ・高・照「「「私が彼と永遠のパートナーになる事!!!」」」

ミ・高・照「「「何ですって(何だと)!!!???」」」

ミ「ちょっと!ミサの真似しないでよ!ってか、あんたたちの云う彼って誰?
  まさか、月だなんて言わないわよね!!??」

高「オホホホホホホホホッ!
  こっちこそ年増のおバカ芸能人の口から、夜神君の名を聞こうとは思わなかったわ」

ミ「誰がおバカですってぇぇぇっ!!この、貧乳!!!」

照「いや、私の目から見ればどっちもどっちの洗濯板‥‥!?ゴフッ‥‥!」

ミ・高「「犬は引っ込んでろ!!」」

ミ「とにかく!月はミサと結婚するの!そして二人でキラをやるの!!」

高「やぁねぇ、これだから低能は。
  新世界の神の妻に何が必要か判っているのかしら?」

ミ「そんなの!可愛さと溢れんばかりの愛!!があればOKよ!!!」

高「美しさと気品!そして優秀な頭脳!!この三種の神器に決まってるでしょ!!!」

照「いやいや、一番重要なのは神への忠誠‥‥!?ヘボバァッ‥‥!!」

ミ・高「「黙れ!変態ドM!!」」

ミ「と、とにかく!月は誰にも渡さないんだから!!
  やぁ~~っと、変態カエルがいなくなって清々したってのに、
  あんたみたいな化粧オバケに横取りされて堪るもんですか!!」

高「それはこっちの台詞よ!東応大始まって以来の理想のカップルと言われてたのに!!
  夜神君は返してもらいます!!!」

ミ「リューク!このお高くとまったサド女の名前をデスノートに書いちゃって!
  TVカメラの前でやすき節を踊った後、腸捻転で死亡!なんてどぉ!?」

高「リューク!この低能に思い知らせておやり!
  某TV番組で全問不正解を恥じ、零点のテスト用紙を握りしめて自殺!!
  ホ~ホッホッホ!これしかないわねっ!!」

リ「ウホッ?急に俺に振るなよな。ところで、幸せ話が何故ケンカに?
  ってか、おれの幸せは林檎を腹いっぱい食べることだな。
  そういやぁ、昨日食ったアップルパイは美味かった。
  林檎は丸のまんまが一番だと思ってたけど、あぁいう味も悪くないな。
  さすが月、何をやらせてもピカ一だぜ」

ミ・高・照「「「何ですってぇ(何だとぉ)!!!???」」」

リ「ウホッ?」

ミ・高・照「「「そそそ、それって!!!月(夜神君・神)の手作りってこと!!!???」」」

リ「そうだけど?」

ミ・高・照「「「!!!ゆ、許さ~~~ん!!!」」」

リ「フギャァァァァァッ!!!!????」

 


キラ「あれ?今何か声が‥‥」

『×××××××××××××××××××××』

キラ「あ、あぁ。アップルパイならまだあるけど‥‥‥
   え?焼き林檎と林檎飴?それは流石にないなぁ。
   前もって来る事を連絡してくれるなら、次には用意しておくよ」

『◎○●◎○●◎○●◎○●◎○●◎○●◎○●◎○●』

キラ「リュークには勿体ない味だって?ありがとう、気に入ってくれて嬉しいよ。
   ‥‥‥‥ん?お礼は何がいいかって?そうだなぁ‥‥‥」

『〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ〇☆Δ』

キラ「そう?何でもいい?じゃぁ、デスノートをあと2~3冊、ってのはどうかな」

 

世の中、腹が膨れれば幸せ、ってことは結構多いようです。

 

 

 

※はい、おまけは第二部設定。
基本、高様は女王様です。当然照はMな犬です(笑)。そしてミサミサは可愛い。
でもって、最後はキラ様と某偉い方。
ちょっと真面目に、月(たぶん黒くて白い)とキングのシリアス話が書いてみたいです。
(この辺りから死神大王とキラの話、というのを意識するようになったらしい)

 

 

 

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