マロンな気持ち

※キラ事件もなんのその、総一郎パパの猛反対も押し切り、
  何故かみんな生きて仲良く(?)Lビルで同居。
  でもって『世界の切り札』をやっている四人です。
  推理は主にL、メロ、ニアの三人が(月も結構参加?)。
  ワタリと月が下準備や交渉、後始末、日常生活の細々を行っています。
  ワタリさんは半分引退。何だかんだで全てを取り仕切っているのはもちろん月です。

 

 


L「いつの間にか秋ですねぇ」
月「そうだな。管理人が仕事でヒィヒィ言ってる間に、いつの間にか夏が終わっちゃったな」
メ「そういやぁダメダメ管理人の奴、書きかけてた『関東お月見会・学園祭編』、
  結局仕上げられなかったのか?」
ニ「あぁ、あれですか。当然挫折です。
  出だしがシリアスなものだから拍手お礼文に上げ辛い、とか何とか言い訳してましたね」
メ「それで『マロンな気持ち』なのか?
  何がどうマロンなんだ?ロマンの間違いだったりしないのか?」
ニ「ここの管理人に限って『ロマン』はないでしょう。
  そう言うのとは最も縁のない奴ですから」
月「ニア、あんまり言うと、シリアスな話でまた酷い目にあわされるぞ。
  一応あれでも抑えてるつもりらしいから」
ニ「‥‥‥‥‥」

L「マロンといえば‥‥」
月「ん?」
L「秋はやっぱり、食欲の秋ですよねぇ」
月・メ・二「「「(絶対言うと思った)」」」
月「そうだな‥‥竜崎にとって秋は、その一言に尽きるだろうな」
メ「食欲だなんて控え目に言わないで、スィーツの秋ってはっきり言えば?」
ニ「こんな甘味お化けがLだなんて‥‥私は認めない、私は認めない、認めない‥‥‥‥」
月「あ~、じゃぁさ、ニアにとって秋って何だい?」
ニ「(ポッ‥‥そうやってわざわざ私に話を振るのは、
   私と誰よりも親しくしたいという事でいいんですね?キラ)
  そう言う貴方はどうなんです?二代目L、いえ、キ‥‥月さん」
L「ニア‥‥何赤くなってるんですか。貴方、熱でもあるんじゃないですか?
  だったらとっとと寝‥‥ゲボバッ!!」
月「(くらえ!会心のエルボー!やっとニアが打ち解けようとしてくれてるのに!
   カエルは邪魔なんだよ!!)
  僕?僕はスポーツの秋かな?」
メ「(おぉっ!月スゲェ!肘の一番硬くて鋭い部分がLの右頬に食い込んでやがる!)
  俺もそれに一票!」
月「結構メロとは気が合うな」
メ「俺達二人、常識人だし」
月「そうだな」
メ「(うぉぉぉっ!月が俺だけに笑ってくれたぁ!!)そうだぜ」
L・ニ「「(クッ!‥‥メロの分際で、何て羨ましい事を!)」」
ニ「わ、私は芸術の秋です!」
メ「お前の芸術は2次元ゲーム限定だろうが。芸術オンチめ」
L・月「「(ギャルゲーか‥‥そうか、そうなのか‥‥やっぱり友達いないんだな‥‥)」」
ニ「2次元の何処が悪いんですか!
  今やジャパニメーションは、ギャルゲーは、日本が世界に誇る芸術です!」
月「うん、判ってるよ、ニア。
  お前は自分の話に付いて来れない女の子に興味がないだけなんだよな。
  決してヒッキーな訳でも、女性恐怖症な訳でもない。
  僕はちゃんと判ってるから、うんうん」
L「ラ、月君!何ですか、それ!?どうしてニアにだけ、そんな甘い言葉を掛けるんですか!?
  私の時はヒッキー矯正週間とか何とか言って、
  雨の日も風の日も雪の日も雷の日も!無理やり外へ追い出したくせに!!
  貴方と一緒なら嫌いな散歩も我慢しましたが、
  いかついFBIや日本刑事と一緒だなんてあんまりで‥‥フギャッ!」
月「いい年した大人が駄々を捏ねるな!」
メ・ニ「「(おぉっ!相変わらず見事なストレートパンチ!!)」」

月「という事で、」
L・メ・ニ「「「(何が、という事?)」」」
月「皆の意見を参考に、行楽の秋を満喫すべく!ここは一つ、ブドウ狩りに行こうじゃないか!
  (これでやっと外へ出られる!一時でも引き籠り探偵達の世話から解放される!)」
L「ブドウ狩り!(ブドウが食べ放題!!)」
メ「おっしゃ~!運転は俺に任せろ!!」
ニ「何処が芸術?」
月「日本の紅葉を堪能しに行くんだ。立派な芸術だろ?」
L「あ~、でも私、シロップ漬けのブドウの方が好きなんですよねぇ。
  それに、ブドウ狩り用のブドウなんてたかが知れてそうですし。
  わざわざ外に出なくても幾らでもブドウは食べられますし。やっぱり止めておきます。
  ブドウの木にショートケーキでも生ってるなら考えますが」
月「(この引き籠り探偵め!)竜崎、残念だけど、ブドウの木にケーキは生らないから」
メ「それ最高!流石はLだぜ!!俺もチョコレートが生る木だったら行ってもいい!!
  むしろ、お菓子の家プリ~ズ!」
月「‥‥運転、するんじゃなかったのか?」
メ「やッぱメンドくせぇ~からや~めた」
ニ「私もクリア寸前のゲームがあるので遠慮しておきます」
月「お前達‥‥‥‥」

L・メ・ニ「「「(ハッ、そうでした!
        今回の依頼、思ったより難易度が高く、
        そのせいで月君はもう1ヶ月近く買い物以外で外へ出てないんでした!
        これは相当鬱憤が溜まっているはず‥‥
        もしや今の彼は、さ、触らぬ神に祟りなし状態!?)
        な、何でしょう‥‥?」」」

月「そんっなに!外へ出るのが嫌か?外は実に良い天気だぞ?」

L・メ・ニ「「「え~と、別にそう言う訳ではありませんが、特別出たいという訳でも‥‥
       (だ、誰か一人でもいいから嘘を吐こうと思わないのか!!!???)」

月「メロもか?」
メ「え?あ~‥‥う~‥‥」
月「いいだろう」

L・メ・ニ「「「(ええっ!?な、何がいいんですか!!!???)月君?」」」

月「ここは僕が大人になって妥協してやろう。今回の依頼も何とか?解決したし、
  息抜きに外へ出たくないという根っから引き籠りなお前達のために、
  いつもの如く手作りスィーツでその労をねぎらってやろうじゃないか!
  幸い、キッチンには旅行中のワタリさんから送られて来た和栗が山のようにある。
  いっぱいある!
  明日はその栗を使ってお前達が泣いて喜ぶマロン尽くしな一日を演出してやろう!
  ハ~ハッハッハッハッハ!楽しみにしていろ!!」

L「ラ、月君?笑顔がキラ仕様になってますが‥‥」
メ「お、俺じゃないからな‥‥月を怒らせたのは俺じゃないからな‥‥!」
ニ「あぁ‥‥二代目L‥‥いいえ、キラ!
  やっぱり貴方はそうやってふんぞり返り憎々しげにしている時の方が‥‥!!」
月「何か言ったか?」

L・メ「「いいえ!何も!!(ニアの大バカ野郎!!)」」

月「という事で、僕はこれからキッチンに籠る。絶対!邪魔しないように!!」
L・メ「「え?これから!?」」
月「ちょっと趣向を凝らしたいからな。フフフ‥‥明日は忘れられない一日にしてやる」
ニ「忘れられないスィーツじゃなくて、忘れられない一日?」
月「そう言っただろう?聞こえなかったのかい?ニア。このおバカさん?」
L「(ヤバイです!完全キラモードです!)
  きょ、今日のお昼は?私の好きなバナナパンケーキを作って下さる予定でしたよね?」
メ「(俺のせいじゃない!絶対俺のせいじゃない!!)
  三時のおやつは?俺のチョコレートムースはどうなるんだ?」
ニ「(美しい‥‥それでこそ、私のキラ!)
  夕飯は?懐かしの某有名デパート屋上レストラン仕様特別お子様ランチ万国旗付きは?」

月「ここに都内人気デリバリー店リストがある。それで何とかしのげ。では諸君、さらばだ!」
L「あぁぁっ!そんなっ‥‥!」
メ「ヤバイよ!どうすんだよ!あれって完全お仕置きモードじゃんか!!」
ニ「クッ‥‥本来Sな私を思わずうっかりMにさせるキラモード!恐るべし夜神月!(うっとり)」
L「と、取り敢えず、店を選びましょう」
メ「諦めるのかよ~~!」
月「今はそれしかありません。ワタリは一足先に息抜きの小旅行に出掛けてしまいましたから」
メ「月の味に慣らされた俺達に今更他の味を食べろって!?」
L「きょ、今日だけの辛抱です‥‥」
メ「今日だけじゃなかったらどうするんだよ!」
ニ「大丈夫です。間違ったら『ごめんなさい』でいいんです」
L・メ「「お前は黙ってろ!!」」

 


月「うふふふふ‥‥遂にやって来たな、今日という日が」

L「昨日の今日で、『遂に』も何もないと思いますが‥‥あぁぁっ!やめてください!
  私の秘蔵おやつ『神戸苺トリュフ』をゴミ箱なんかに捨てないでください!!
  本棚を改造してこっそり隠しておいたのに!いつの間に発見したんですか、月君!!??
  ひぃぃっ!ごめんなさい!すみません!!
  隠れておやつを食べた後もちゃんと歯を磨きますから~~っ!!!」
メ「チョコだって!?苺チョコは邪道だが、チョコには変わりない!
  Lの奴、よくも一人でこっそり‥‥!って、まさか!
  俺秘蔵の『割れチョコ』まで発見されたんじゃ‥‥
  嘘っ!見覚えのある包み紙がどうしてゴミ箱に‥‥!?」
ニ「あまりに低次元すぎて何か言う気も起きません‥‥
  え?燃えないゴミ用ゴミ箱にCDが捨ててある?
  そ、それはもしや、私の秘蔵ギャルゲー限定版‥‥!
  廉価版があればいいだろうって?マニアを舐めないでくださいっ!!」

月「うふふふふ、ふふふ‥‥
  尻に根っこが生えて、頭からキノコが生えてる引き籠り探偵諸君。
  我が家の家訓を覚えているかな?」

L・メ・ニ「「「欲しがりません依頼をこなすまでは!
       おやつは決まった時間に決まった量だけ食べること!
       食べた後は必ず歯を磨くこと!
       よそ様から頂いたお菓子を食べる時や、ネット通販での買い物は、
       必ず夜神月かワタリの検閲を受け許可を取ること!!!」」」

月「良くできました。では、そんな賢い探偵君達に今日の楽しいおやつの中身を発表します」

L・メ・ニ「「「(独裁反対!)ワ~イ、嬉しいな~~~」」」

月「見事にハモった棒読みありがとう。今日は3人別々な中身にしてみた。
  徹夜で作ったんだから拝み倒して舌全体、体全部で味わって食べるように」

L・メ・ニ「「「(舌はともかく、体って‥‥あぁ、何だか嫌な予感‥‥)は~い」」」

月「まずは竜崎からだ。さぁ、屋上に移動するぞ」
L・メ・ニ「「「何故に屋上!?」」」
月「うふふふふ‥‥ケーキの生る木が欲しかったんだろ?竜崎」
L「た、確かにそんなような事を云いましたが‥‥現実にそんな木があるはずが‥‥」
月「そう、ないな。でも、竜崎のために僕が大枚はたいて作ってみた」
L・メ・ニ「「「えええぇっ!?しみったれな月(君)が!!!???」」」
月「しみったれで悪かったな。庶民派と言え。さぁ、竜崎。あれがそのスィーツの木だ」
L「い、何時の間にか屋上に盛り土が‥‥しかも木まで生えてます!」
月「ふふふ‥‥驚いたか」

L・メ・ニ「「「(相変わらず恐ろしい行動力!
        引き籠りな私達には逆立ちしても真似できません!)はい」」」

月「残念ながらショートケーキは重量と硬度に問題があって無理だったが、
  一口栗大福&一口栗まんじゅうは成功した」
L「栗大福に栗饅頭!(月君の愛、確かに受け取りました!)嬉しいですぅ!!」
月「気に入ってくれて僕も嬉しいよ、竜崎。無事ゲットして心行くまで食べてくれ」
L「はい!は?ゲット?」
メ「あれ?何処にもそれらしき物なんてないぞ。
  この木、本当に栗大福や栗饅頭が生ってんのか?」
ニ「本当ですね。葉が生い茂ってよく見えませんが‥‥おや?あそこに何か丸い物が‥‥」
L「それは月君が私のために作ってくれたスィーツです!貴方達には食べさせません!!」
メ「イテッ!いきなりぶつかってくるなよな!」
ニ「私を巻き込まないでください、メロ。
  あぁ、痛い。木にぶつかってしまいました。おや?何か落ちて‥‥」
L「ギャァァァッ!!」
メ「何だ?何だ?何だぁ!?」
ニ「L、何足の裏に生やしてるんですか」
L「い、痛いです!何かが頭の上に落ちてきたと思ったら、
  うっかりそれを踏んづけてしまいました!!」
メ「それってもしかして‥‥栗の『イガ』?」
ニ「見事にLの足の裏に突き刺さってますね。というか、屋上に来るのに裸足って‥‥」
L「このビルは私達の家ですから、家の中で裸足なのは当然じゃないですか!」
メ「まぁ、カーペット敷きな所も多いし‥‥別にいいか?」
ニ「そんな事より、何故に栗?‥‥私が木にぶつかって、その衝撃で落ちてきたという事は、
  この木は栗の木で、もう相当熟してるということ‥‥」
メ「栗拾いでもしろって?」
L「や、やっと取れました、このチクチク!
  世界の切り札とまで言われるこの私の足の裏に突き刺さろうだなんて何と図々しいや‥‥つ、
  ‥‥‥‥?ん?踏んづけたせいでイガが割れて中が見え‥‥」
メ「‥‥なぁ、イガの中身って栗のはずだよな」
ニ「そのはずですが」
メ「でも、これって‥‥どう見ても‥‥」
ニ「饅頭?」
L「そ、それ以上言わないでください!私は何も見てません!何にも、見てませんからっ!!」
月「うふふふふふ‥‥食べ物を粗末にするのはいけないなぁ。ましてや踏むだなんて」

L・メ・ニ「「「(あぁぁっ!黒月様降臨っ!!)ごめんなさい~~~!!!」」」

月「昔の人は良いこと言ったよな。お米の一粒一粒に神様が宿ってる、なんて。
  それはもちろん、麦でも小豆でも栗でも同じことだよな。
  だ・か・ら、たとえ自分が踏んづけた饅頭でも、責任もって、ありがた~く頂くように。
  判ったな?竜崎」
L「‥‥はい」
月「それと、もう判ったと思うけど、
  僕がお前のために作った栗大福と栗饅頭は、
  栗のイガの中にしっかりと納めてこの木に結わえつけてある。
  さっきみたいに叩いたり蹴ったりして木に振動を与えれば簡単に落ちる程度の結わえ方だ。
  全部で30個。残らず落として食べてくれ」
L「(そ、それだけの労力と行動力は何処から)‥‥あのぉ」
月「何だ?」
L「私、裸足だし、素手なんですが‥‥今ので既に足の裏と指に怪我を‥‥」
月「うふふふふふふふふふふふふ‥‥僕の愛情こもったスィーツが食べられないって?」
L「頑張ります‥‥」
月「食べ終わってから感想を聞かせてくれ」
L「ブツブツ‥‥落ちて来る所を見計らってサッとよければ痛い思いはしないはず‥‥ギャッ!」
メ「バッカでぇ。猫背だから上を見上げ続けられないでやんの」
ニ「あぁ、今度は顔でイガを受け止めましたよ。器用ですね」
L「3個目ゲット~~~~!‥‥ホゲッ!?」
メ・ニ「「ブヘホッ!!??」」
月「ちなみに、木に結わえたイガは全部で60個。2個に1個はフェイクのコショウ爆弾だから」
L「ゲフンゲフン、フガホガッ‥‥!」
メ・ニ「「何で俺(私)達までこんな目に‥‥!!??ゲホホ!!」」
月「さ、次はメロだ。お前には竜崎よりさらにアクティブなおやつタイムを用意したぞ」
メ「(アクティブでなくていいです!)アハハ‥‥う、嬉しいなぁ」
L「5個目‥‥ゲットォォ‥‥‥‥」
ニ「骨は拾ってあげます、L。ですから心置きなく死んでください」

 


メ「アクティブと言いつつ、屋内?」
月「使ってない部屋を丸ごと使用した」
メ「(あぁぁっ、ますます嫌な予感が‥‥‥)」
ニ「何でしょう‥‥何やらむせ返るほど異様に甘い匂いがします」
メ「こ、この匂いはチョコレート!!」
月「そうだ、良く判ったな。流石はメロ。メロにはマロングラッセのチョコ掛けを作ってみた」
メ「月っ!ありがと~~~う!!」
月「という事で、こっちで食べる準備を‥‥」
メ「へ?何で後ろ手に手錠を?靴も脱げって?」
ニ「そう言うプレイですか?」
月「うふふ、うふふふふふふふふふふふふふふ‥‥どうだい、メロ。気に入ったかい?」
メ「なっ!何じゃこりゃぁっ!?部屋いっぱいの巨大バットにチョコレートの海!?」
ニ「まさかとは思いますが、月さん。マロングラッセはこのチョコの海の中に?」
月「正解。ニアは賢いなぁ」
メ「それはつまり‥‥
  俺にこのチョコの海に飛び込んで、体を張ってマロングラッセを探しだして食えと」
月「大丈夫。チョコの水深は10cmだから溺れる事はないよ。
  しかも、チョコは生チョコだ」
ニ「良かったじゃないですか、メロ。以前言ってましたよね?
  チョコの海に飛び込んで思う存分チョコ塗れになってみたいって。
  願いが適ったじゃないですか。しかも、月さんの美味しいマロングラッセ付です」
メ「‥‥ありがたく頂きます」
ニ「見た目、芋虫というよりアシカでしょうか」
月「マロングラッセの数は竜崎と同じ30個だから。
  全部探し出して食べなかったら、向こう半年チョコは禁止だぞ」
メ「ムハホニャハラッペロペロ‥‥チョコは美味いけど、鼻に入って‥‥
  何処にあるんだよぉ!俺のマロングラッセ~~~!!!」
ニ「縦5m、横10mのチョコの海‥‥そこに直径5cmにも満たない栗が30個‥‥哀れな」
月「最後はニアだな」
ニ「遠慮させて頂く訳には‥‥いきませんよね?」
月「またおバカさんになりたいのかな?ニアは」
ニ「謹んでお受けいたします(キラモードが素敵です)」
月「ニアには栗おこわを作ってみたよ。
  以前作った時、珍しく三杯もおかわりしてたから気に入ったのかと思ってね」
ニ「はい!あれはとても美味しかったです!(覚えていてくださったのですね、月さん!)」
月「ニアにも栗は30個だよ。
  ただし、このゲームで落とした女の子の数だけ、おこわの中に栗が入るから」
ニ「は?」
月「栗おこわを炊いて、後からわざわざ栗だけ抜き取った僕の手間暇、判るよね?」
ニ「ギャルゲーですか?」
月「ご飯を食べるのも忘れるくらい好きだし得意だろ?
  女の子30人全部落とすくらい訳ないよね?」
ニ「シナリオ30本クリアしろと?いったい何時間かかると‥‥」
月「もちろん、栗1個で満足できるんなら、女の子は一人ゲットで済むよね?」
ニ「栗がたった1個の栗おこわなんて、栗おこわじゃありません!
  あれはたっぷり栗が入ってこそ美味しいのです!」
月「じゃぁ、頑張って30人全員落としてくれ」
ニ「‥‥‥鬼‥‥」
月「何か言ったかな?ニア」
ニ「いえ、頑張ります」
月「良い子だね、ニア。美味しい栗が君を待ってるよ。
  さ、僕は粧裕と一緒にブドウ狩りに行ってこよ~っと」

 


それは爽やかな秋のとある日の出来事でしたとさ。

 

 

 

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