「いやぁ、今更って気が100%しないでもないんだけど、
何か管理人が書いておきたいって五月蠅いもんだから」
「書く訳になったって事か?」
「そうなんだよ」
「ホント、今更だよな」
「今更なのはいいんだけど、お前ら自己紹介はないのか?」
「「「「ないよ。だって俺ら(僕ら)お笑いキャラだし」」」」
「管理人‥‥手抜きもいいトコだな。せめてABCDぐらい付けてやれよ」
「サクッと終わりたいから付ける気ないってさ」
「取り敢えず、幼馴染4人組と言う事で納得してくれ」
「純正!幼馴染ね。山元みたいなエセ幼馴染とは違うから」
「‥‥くっ、痛い所を突きやがって‥‥」
「取り敢えず、七夕と言われて思い出すのは‥‥」
「やっぱり幼稚園の時のあれだろうね」
「あぁ」
「あれしかないな」
「幼稚園?やけに古い記憶だな」
「それだけ印象に残ってたんだよ」
「小学校に上がってからは、月の奴も小利口になっちゃって」
「町内児童会の七夕でも良い子ちゃんで通してたからな」
「いや、実際良い子ちゃんなんだけど。ほら、時折のぞく真っ黒な女王様モード?
あれを大人達の前では綺麗に隠すようになっちゃって」
「小学生で早くも隠す事を覚えたって?やるなぁ、月の奴」
「「「「だよな」」」」
「でもまぁ、あれはあれでいつもとは違う月が見られるって事で俺ら的には全然OKだけど」
「ギャップがイイって奴もいるしな」
「あ~、僕、女王様モードの月に踏まれたいって奴知ってる~」
「新しく来た数学教師だろ。メガネ掛けたちょっと神経質そうな奴」
「あいつか‥‥あいつは俺も危ないと思った。4月当初から月を見る目が尋常じゃなかった」
「「「「大丈夫。学年主任にチクッっといた」」」」
「おまえら‥‥」
「で、話を戻すけどな。何故、七夕の思い出が幼稚園時代まで遡るかというと」
「幼稚園時代の月のアイドルっぷりが、そりゃもう今の比じゃなかったからだ」
「幼児は自分の感情に正直だからなぁ」
「可愛くて優しくて賢い月はとにかくダントツ1位で、織姫役に決定だった」
「それで牽牛役を皆で争ったって?」
「「「「いや、まぁ、それはな‥‥女の子達みんなが牽牛役って事で‥‥」」」」
「何じゃ、そりゃぁ!?」
「先生達の苦肉の策だよ。そうしないと血を見るのは明らかだったから‥‥」
「凄かったもんな、役を決める時の女の子達の鼻息。あれはもう幼児じゃないって‥‥」
「あれは立派に女の目だった。獲物を狩る女の目。
あまりの凄さに、僕達、教室に入れなかった‥‥」
「流石の月も怯えてたな‥‥いや、織姫役に決まってプンプン怒ってたっけか」
「そりゃ怒るだろ。月の奴、見た目に反して中身は結構『漢』だもんよ」
「「「「しかし!俺(僕)ら的にも、月の織姫は譲れなかったんだ!!!!」」」」
「お前ら‥‥」
「まぁ、女装って言っても幼稚園児のお遊戯じゃぁ、たかが知れてるけどな」
「紙で作った冠と、先生が用意したレースのストール?」
「あぁ、あれな。針金のワッカに巻き付けて背中にしょってたんだよな。羽衣に見せるために」
「おまけにお袋さんが悪乗りして、その日の月はマイクロミニパンツだったから、
スモッグがやっぱりマイクロミニのスカートに見えたっけ」
「小母さん‥‥そんな昔から‥‥」
「「「「何処からどう見ても、立派な織姫だった!!!!」」」」
「力いっぱい言うな!なんてませた幼稚園児だ!」
「とにかく!男の月が織姫役になっちまったせいで逆に牽牛役を女の子がする事になった訳だ」
「まぁ、俺達としては月の織姫が見られればそれで良かったし」
「女の子達みたいに牽牛役を争う勇気はなかったし」
「女の子達は女の子達で月とペアになれるならどっちでも良かったみたいだし」
「「「「ほら、万事が丸く収まった」」」」
「唯一の被害者は月って事か‥‥」
「まぁまぁ。それも楽しい思い出ではあるけれど」
「今でも心に刻まれている真の思い出はこの後なんだ」
「そう。園長先生が用意した竹竿に願い事を書いた短冊をみんなで吊るす事になって」
「どういう訳か、誰も隠したりせず、堂々と見せ合いっこなんかしたりしてな」
「うわぁ~、何かヤナ予感がするぞ~~。
ってか、お前らが書く願い事っつ~ったら一つ!しかないだろうが」
「「「「判るか?」」」」
「判らいでか!!」
「「「「月をお嫁さんにしたい!!!!」」」」
「言うなっ!」
「「「「もしくは、月と結婚したい」」」」
「同じだ!」
「「「「一応、女の子達の願い事は『月君のお嫁さんになりたい』だった」」」」
「うわぁ~、鉄板だ~~」
「「「「ついでに言うなら先生達の願い事は『月君みたいな子どもが欲しい』だった」」」」
「‥‥‥それもだいたい想像がついた」
「「「「レアな願い事では『大きくなった月君がみたい』ってのもあったな」」」」
「何か、リアルな女の欲望を感じるのは俺だけか?」
「「「「安心しろ。俺(僕)らもそう感じたから」」」」
「だが!ここで問題なのは俺達の願い事ではなく、月の願い事だ!」
「あれは正に独創的な願い事だった」
「月じゃないと書けない願い事だった」
「願い事を四字熟語で書く幼稚園児なんて月ぐらいだよ」
「はぁ?」
「いや、だから。月の短冊には、漢字4文字しか書いてなかったんだよ」
「当時の僕達には当然読めなかったな」
「読めないから、仕方なく月に聞いた」
「何て書いたのかって」
「何て書いたんだ?月の奴」
「「「「せかいへいわ」」」」
「‥‥‥何故にひらがな読み?ってか、それってマジで幼稚園児の願い事か?」
「月だし」
「月だから」
「月だもんな」
「月らし過ぎ!」
「「「「今思い出すと涙が‥‥」」」」
「いや、まぁ‥‥何か判った気がする。
確かに多感な十代じゃぁ、恥ずかしくって書けない願い事だよな。
純粋な幼稚園児だったから書けたんだよな」
「そう、幼稚園児は純粋なんだ!」
「あの、完璧を絵に描いたような月だって幼稚園時代は純粋だった!」
「優等生が服着て歩いてる月も純粋だった!」
「今は女王様モードを密かに隠してるつもりの月も当時は純粋だった!」
「何だか棘を感じるんだが‥‥」
「いや、だって‥‥その時の先生達の反応が‥‥」
「うん。先生達、顔、引き攣ってたもんね」
「大人の先生達には月がなんて書いたかバッチリ判ってたんだよなぁ」
「俺達はせいぜい分担して漢字を一文字ずつ覚えておくのが精一杯だった」
「お前ら、そんな事したのかよ‥‥それより、何で先生達、顔引き攣ってたんだ?」
「「「「それは‥‥‥」」」」
「それは?」
「「「「月が書いた四字熟語が‥‥‥」」」」
「四字熟語が?」
「「「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」」」
「おい」
「征」
「世(よ)」
「服」
「界」
「は?」
「「「「俺(僕)らが一つずつ覚えた漢字だ。
それを繋げて出来上がる四字熟語は?さて、何でしょう」」」」
「‥‥‥‥‥(しばし、思考中)‥‥‥‥‥」
「先生がな、それを見て一応月に聞いたんだよ」
「これ、本当に月君が書いたの?って」
「本気?とも聞いてたっけ」
「月はそれに大真面目な顔で答えてたな」
「「「「お父さんが『男なら大きな望みを持ちなさい』って言ってました!って」」」」
「(思考終了)‥‥‥怖いな、幼稚園児‥‥」
「あぁ、純粋な分、怖いんだ」
「これに比べたら女王様モードなんて可愛いもんさ」
「でも、月は本気で!『せかいへいわ』を願ってたんだよ」
「あぁ、マジ!バリ!激!!本気だった」
「「「「最後には先生達も『月君なら立派な支配者になれるわね』って言いだして」」」」
「うわぁ~~~、末期だろ、それ」
「「「「世界征服と書いて、世界平和と読ませられるのは、
世界中探しても月しかいない!!!!」」」」
「関東お月見会‥‥世界進出でも考えてみるか‥‥‥」
その後みんなで七夕の歌を歌ったは、今はもう懐かしい思い出である。